精神疾患を抱える患者さんに対する姿勢とは
長い間、世間では気持ちの問題とされてきた精神疾患ですが、近年では様々なメディアでも取り上げられるようになり、れっきとした病気の一つであるということが認知されつつあります。では、その精神疾患を患っている患者さんに対して、薬剤師はどのような対応をすれば良いのでしょうか。
高いコミュニケーション能力と強い意志
精神疾患の患者さんが訪れる精神科では、一般的な病院と同じく様々な病気を患っている患者さんが来院します。それでも内科や外科と異なる部分はやはり、患者さんとのコミュニケーションを取ることが容易ではないケースは多い、ということが挙げられます。
基本的に不安感を強気抱いている方が多く、疾患によっては落ち込みの激しい方やハイテンションな方など、一括りにできないのも精神疾患の特徴です。ですので、一人一人に合わせた対応は他の科の患者さんと同じですが、精神疾患を患っている患者さんとはより信頼のおけるコミュニケーション能力が必要となってきます。
その信頼からは、薬の正しい服用や疾患を乗り越える力にも繋がるものです。また、患者さんによっては感情の激しさから医療従事者側がひるんでしまうケースもありますが、感情に飲み込まれない強い意志も求められます。
薬の効果と共に副作用に関しても正直に伝える
そして、精神疾患を患っている患者さんの中には薬に対して強い不安を抱いている方も少なくありませんので、その不安をきっちりと受け止めて解消することも大切な業務となります。インターネットで常時、求めている情報を得られる時代では、疾患や薬に関する情報も巷で溢れています。
その中から、本当に正しい情報を選び取るには一般の方には難しく、一見正当な意見に見えても医療従事者からすれば正反対な情報であることもあります。ですので、間違った情報をうのみにして、服用を拒否する患者さんに対しては、正しい薬の情報を伝えて、納得をして服用してもらうことが大切です。
また、薬に関して納得はできてもそれでも服用を嫌がる患者さんに対しては、漢方薬の代替え案を提案するなどの臨機応変な対応力も必要となります。
長期的な支援も視野に入れて指導を行う
ストレス社会や情報過多、変化の激しい時代にあって、精神疾患は誰がり患しても不思議ではなく、これから増え続けていく疾患だとする医療従事者も存在します。そんな社会にあって、精神疾患を患っている患者さんが服薬指導や適切な治療によって、回復傾向を見せ、社会復帰をしていく姿は薬剤師にとっても何よりも喜びとなり、やりがいにも繋がります。
なお、精神疾患は短期間で治癒することは少なく、ほとんどのケースでは長期間の闘病が一般的です。退院や通院終了となっても、再発をすることも多く、患者さんによっては訪問診療を行うこともあります。そのため、根気よく患者さんと向き合い、支えていく力が必要とはなりますが、これからの社会においては医療従事者としてなくてはならない存在になるでしょう。