離職を防ぐための初期フォローの具体策
薬剤師の離職理由としてよく挙げられるのが、入職直後の不安や孤独感、業務とのミスマッチです。とくに初期段階で十分な支援が受けられなかった場合、数カ月以内に辞めてしまうケースも少なくありません。こうした早期離職を防ぐには、職場側が積極的に初期支援を行い、新人が安心して働ける環境を整えることが何より重要です。この記事では、薬剤師の離職率を下げるために有効とされる初期フォローの工夫を3つの観点からご紹介します。
不安を減らす受け入れ体制の整備
入職初日から安心して業務に入れるようにするためには、迎え入れる側の準備が不可欠です。事前の職場案内や業務の流れを説明したマニュアルの用意、担当メンターの明示、初日のスケジュールの提示など、段取りが整っている職場は新入職者に安心感を与え、初日から良い印象を持たせることができます。
また、制服やロッカーの準備、昼休憩の取り方など細かい点まで説明されているかどうかも、新人の緊張を和らげる要素になります。初期に感じる「居場所のなさ」を解消することが離職防止に直結します。
先輩スタッフによる声かけのタイミングや、業務開始前後の簡単なヒアリングも非常に効果的です。
伴走型のOJTとこまめな声かけ
入職後しばらくは、誰かがそばで見守ってくれているという感覚が、新人にとって大きな支えになります。単に業務を覚えさせるのではなく、業務の背景や意味も含めて説明しながら一緒に動く「伴走型」のOJTを実施している職場では、新人が安心して質問しやすく、自然と業務に馴染みやすくなります。
さらに、「困っていることはないか?」「ここまでは理解できているか?」など、意識的に声をかける文化が根づいていれば、不安や孤独感の蓄積を未然に防ぐことができます。周囲のスタッフ全員で育成に関わるという共通認識がある職場ほど、定着率は高くなる傾向があります。
成長を実感できる振り返りと評価
初期の段階で「自分は少しずつ成長できている」という実感が持てるかどうかは、離職率に大きく影響します。業務の到達目標を段階的に設定し、定期的な振り返りの時間を設けることで、新人は自己の成長を確認でき、前向きな気持ちで働き続けることができます。
この際、できていない点の指摘よりも、できるようになった点へのフィードバックを優先することが効果的です。成長が見える化され、努力が認められる職場では、新人の意欲が継続しやすくなります。
目標の共有と定期的な面談がルーティン化されている職場は、精神的な安定を得やすく、長く働きたいと思える環境に近づきます。